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第三段階は、「日常の中でセミナーの成果を活かす」ためのコースであると、 参加者には説明される。 しかし、その実態は、エンロールと呼ばれる勧誘活動が中心になっていることが多い。
第三段階の内容は、それぞれの会社や時代の特色が現われており、 なかなか共通の構造は見出しにくい。 今回、一応例を挙げたが、 実際には会社によってかなり異なっている可能性があることをお断りしておく。
まず、コースのおおまかな構造は次のようになっている。
グループの形成、実習「冒険」他、レクチャー「エンロールとは?」、 目標の設定、、エンロールの指導、無理だという思いを吐き出す、 レクチャー「理想的なエンロール」、 72 時間ゲームの告知、 etc.
72 時間ゲーム、グループ・ミーティング、全体ミーティング、 ゲスト・イベントの主催、セミナー会社に対するボランティア、 etc.
エンロールの反省と表彰、実習「大冒険」、目標の再設定、 etc.
72 時間ゲームがない以外はエンロール期間 I と同様
最後までエンロール、ないしはセミナーの振り返り
では、以下では具体的に見ていこう。
第一セッションの目的は、エンロール目標を設定して、 その実現のための指導を行なうことである。
最初に、シェアーやいくつかの実習を行ない、参加者間の親密度を高めた後に、 パートナーを決め、グループを形成し、リーダーやアシスタントを決める。 パートナーやグループでは、このセミナーに何をかけるかなどを相談して、 互いにその実現のために貢献しあうことを誓い合う。
今までやったことがないような、 とてもできそうにないと思えることに挑戦するような実習が行なわれ、 グループでこれに挑む。 例えば、片足で長時間立ち続ける実習、募金活動、 路上で簡単なパフォーマンスなどなどである。
エンロールの説明は非常に特徴的だと思われるので、 トレーナーの説明内容の一例をそのまま紹介しよう。
エンロールとは、「○○セミナーを取って下さい」と人に言うことです。
これを聞くと、あなたはすぐに「過去の体験で習得した思い込み」によって、 「エンロール」=「勧誘」であると「解釈」しますね。 しかし、それは「事実」ではありません。エンロールとは、 「自分自身をシェアーすること」です。
映画を見て、おもしろかったら、それを友だちにおもしろかったとすすめますね。 エンロールもこれと一緒です。
エンロールをしても、あなたには何の見返りもありません。 あなたには、その人の成長に関わることができたという喜びがただあるだけです。 エンロールとは、「その人に貢献すること」です。 人間の可能性を開くという素晴らしい機会に携わることなのです。
あなたがこのセミナーに参加してどんな体験をしたか、ただ、 それをシェアーして下さい。
これは、これからの人生で、みなさんが達成を作っていくための練習です。 人生において起こってくる様々な出来事を思い出してみて下さい。 恋愛、仕事、仲間、これらはみんな自分のヴィジョンに対して、 他の人たちが参加するように「巻き込ん」でいくこと、即ち、エンロールなのです。
エンロールは大変です。 でも、この大変なエンロールの練習をやりとげれば、もう何も恐いものはありません。 練習は、少し大変なくらいがちょうどいいのです。
あなた自身を見つめ、その人とどういう人間関係を作っていきたいのか。 そのヴィジョンに対して、エンロールしてください 。あなたのまわりの人、一人一人には、本当に素晴らしい可能性があり、 それを引き出せるように立場とっていくこと。 それが、エンロールなのです。
わたしたちは、いまだ、この地球上に存在していない会話を創り出し、 それを話すことを選んだ、真に勇気のある人々なのです。
つまり、「事実」と「解釈」は違う。 エンロールというのは勧誘ではなく、素晴らしいことなのだ (本当はこれも解釈に過ぎないのだが)というわけである。
何人エンロールするかを各人が決める。その際の説明も非常に特徴的なので、 ここに紹介しておこう。
では、この○○コース、○○日間で、何人エンロールするかを決めて宣言してください。
この数には、何の根拠もありません。ただの数です。 あなたが一番動かされる数をコミットして下さい。
例えば、 1 人とコミットしたとします。 ○○日間で 1 人エンロールするのは簡単だなあという気になるでしょう。 すると、それは全然動かされません。
もう、この人数を宣言してしまったら、いてもたってもいられなくなって、 すぐにでも行動に移らなければならない。そんな数があるでしょう。 これは人によって違います。 そんな数をコミットしてください。
これは数ですが、数ではありません。 何の根拠もない数です。 でも、あなたが一番動かされる数。それをコミットしてください。
このような説明の後、グループに分かれて、一人一人が自分の数を宣言する。 あまり数が少ないと、「あなたはもっとできる人です」 などとメンバーからフィードバックが返ってくることになる。 そして、その数をパートナーと合わせて○○人、グループで○○人、全体で○○人と、 それぞれの段階で、 仲間の数に対してもトータルで自分も責任を負って貢献することを誓いあう。
つまり、本気になりそうな数を、根拠のない数であるとして宣言させ、 一度宣言すると、それを必ず実行するように言うわけである。
当然、この段階で、エンロールしたくないという人も現われる。 しかし、これまでのセミナーで示されている価値観には、 「互いに貢献しよう」=「互いに Yes を言おう」というものがあり、 これを受け入れている限り、依頼されたことを断るのは困難である。 また、明らかに「エンロール」=「勧誘」なのだが、 それは「過去の経験で習得した思い込み」に過ぎないと言われてもいる。 そして、今までのセミナーの内容を思い出してみると、ひょっとしたら、 未来の「かく在りたし」という自分のヴィジョンからコミットしていけば、 いままでに本当に知らなかったような素晴らしい可能性が開かれて、 エンロールがうまくいくかもしれないではないかという気にもなってくる。 要するに、「やってみなくてはわからないではないか、 実際、このセミナーではそういうことがいっぱいあったしね」というわけである。
また、セミナーで出会った「素晴らしい仲間」がみんなやると言ってるのに、 自分一人だけがやらなければ、 この「素晴らしい人間関係」を失ってしまうのではないかという思いも後押しになる。
かくして、ほとんどの人が、エンロールする目標を宣言することになる。 宣言しない人は、全員で説得をしたりする。
この部分で用いられているレトリックを簡単にまとめると以下のようになる。
「事実」と「解釈」は異なる。
人は過去の経験によって作られた思い込みにとらわれている。
うまくいくと信じて実行すればうまくいく。
知っている人間を全員リストアップし、 その人たちの住所と電話番号をまとめるように言われる。
次に、システム手帳のようなもの(渡されることもある)に、 毎日細かくスケジュールを記入するように言われる。 そして、リストの中の「誰に」、「いつ」、「どんなふう」 にアポイントメントを取るかをきちんと決めて、実行に移すように言われる。 この計画はいい加減なものではなく、一種のコミットメントであり、 必ず本気でアポイントメントが取れるように、あらゆる努力をはらうように指導される。
また、このコミットメントが必ず成し遂げられるように、 パートナーが援助することも求められる。 そして励ましあうために、毎日必ず電話で連絡を取り合うことを約束する。
宣言して、指導を受けても、まだ無理だという思いが、 多くの参加者の胸の中には渦巻いている。
グループになって、その「だめだ」「無理だ」という思いを、 「○○だから、俺にはできない」という感じで徹底的に吐露しあう。 それ以上はもう何も出てこなくなるというところまで、これを続ける。
理想的なエンロールとは、参加してくれということではなく、 相手にとって本当に素晴らしい仲間になり、 相手の方からどうしたらそんなに素晴らしい人になれるのか と聞かれるくらいになればいい。 そして、このセミナーを紹介すればいいのだというレクチャー。
なお、ここまでのところでは、アポイントメントを取って、知り合いに会って、 「セミナーを取ってください」と言うことをコミットせよと指示してきたわけであるが、 その話とこの「理想的なエンロール」の話は本質的に異なっていることに注意したい。
これからゲームとして、 72 時間以内に何人エンロールできるか挑戦するように言われる。 パートナー、グループ、全体で人数をコミットする。 そして、もしも、 72 時間後に地球が滅亡するとしたら、何ができるかを考えて、 本気でエンロールするように指導される。
72 時間ゲームが終わる日にミーティングが設定されていて、全員で集まり、 その結果を報告する。 エンロール期間には、グループでのミーティングが頻繁にあるが、 全体のミーティングも何回かある。
全体のミーティングでは、まず、結果の報告が行なわれ、 どんなことがあったのかをシェアーし、なぜうまくいかなかったのかを相談しあう。 次に達成を作り出す方法に関して、様々なバリエーションのレクチャーが行なわれる。 そして、次のミーティングまでの目標を宣言し、できないという思いを吐露し、 どう具体的に仲間と協力してエンロールするかという計画をたてる。
また、セミナー会社でボランティアとして働いたり、ゲスト・イベントを主 催したりする。
第二セッションも、いくつかの実習があることを除けば、 全体でのミーティングと同様なシステムになっている。
ここで行なわれる特徴的な実習には、「大冒険」などと呼ばれるものがある。 これは、「冒険」の実習同様、今までにやったことがないことを、見知らぬ人 たちの前で行なうというものである。具体的には、路上で派手なパフォーマン スを行なったりする。
また、遠いところに全員で連れて行かれて、スタッフにお金をとりあげられる。 そして、各グループで協力してセミナー会場までもどってくるように 言われるような実習が行なわれる場合もある。
エンロール期間 I と同様である。
目標に数が達していない場合、時間ギリギリまでエンロールを行なうこともある。 更に、それは第三セッション終了後にも延長されることもある。
それ以外の場合には、自分がどれだけ達成できたか、 第三段階でどんなことがあったかなどを振り返る。 そして、パートナー、グループ、全体で、第三段階を振り返って、 本当によくやったとねぎらいあう。 いくつかの癒し的な実習をまじえ、 最後にはこれからどのような人生を歩んでいくのかを宣言し、 励ましあって終了する。
多くの人にとって、第三段階は、後で振り返ってみれば苦い思い出であろう。
しかし、一部の人は、エンロールの実習によって、 本当に自分がこれまでどんな人間関係を築いてきたのかがわかってよかったとか、 誘った相手が参加してとても喜んでくれてよかったという感想を持つこともある。 また、理想的なエンロールは「ただの勧誘」とは違うのであるという考えを 持ち続ける人も存在する。