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わたしたちは、ものごと判断するときに、「外からの情報」を、 個人個人の「ものの見方や考え方」を使って処理しています。 簡単に言ってしまえば、この「ものの見方や考え方」が、 ビリーフ・システム(belief system)です。
西田公昭著『「信じるこころ」の科学』で紹介されている、 代表的なビリーフ群は 5 種類あります。 その自己啓発セミナー版を考えてみました。
自己ビリーフ わたしは一体どういう存在なの?
ダイヤモンドのように光り輝く無限の可能性を持っている存在である。 しかし、今は、これまでの人生で獲得してきた思い込みによって、 ダイヤモンドのまわりに汚れがこびりついていて、自分の可能性を閉ざしている。
理想ビリーフ 理想的なわたしとか世の中ってどんなもの?
ポジティヴでパワフルな人間。 やると言ったことを必ずやる人間。 思い込みにとらわれないで生きる人間。
目標ビリーフ わたしは一体何をすればいいの?
(現実問題としては)自分の目標を賭けて、 セミナーにどんどん人をエンロールしたり、 自分がより上級のセミナーを受講したり、セミナーのスタッフをする。 頭で考えるよりも、とにかく行動する。 自分の目標にコミットしていく。 「黒」を投票する。 Be(自分の在り方)-Do(行動)-Have(持っているもの)という生き方をする。
因果ビリーフ 世の中はどんな法則で動いているの?
「事実」と「解釈」は異なる。 人の見ているものは「解釈」である。 人々の内の何割かがセミナーを受講すれば世界が変わる。
権威ビリーフ 正誤や善悪の基準はどこにあるの?
(暗黙には)セミナーの教えや、トレーナーやスタッフの言葉。
「事実」と「解釈」は異なる。
過去の体験によって形成された思い込みによって「解釈」は作られている。
人は「解釈」にとらわれていて、新たな物事に挑戦することなしに、自分の可能性を閉ざしている。
人生は選択である。
人は物事を「勝ち」「負け」のゲームとして見ている。このため人間関係などがうまくいかない。
互いに貢献したほうがいい。
人はみな輝くものを持っていて、そのままで十分である。
ポジティヴに考えることが大切である。
ぐずぐず考えるよりも、まずはやってみることだ。
全力でものごとに立ち向かうパワフルな人はすばらしい。
やると言ったことを本当にやる人はすばらしい。
セミナーの成果は人によって違う。成果のあるなしはその人次第である。
セミナーの内容は受講していない人には話さない方がいい。というのも、セミナーの内容をあらかじめ知ってしまうと、先入観が生まれてしまって効果が低くなるからである。
世の中、いろいろなものごとは実はエンロールなのである。
セミナーにエンロールすることは、おもしろかった映画を人にすすめるのと一緒である。
自己啓発セミナーでは、どうあるべきかということを説明するときに、 Be-Do-Have の三角形を用います。
すなわち、人はよく、あるモノ(お金とか、地位とか、実際の物とか)が欲しくて、 一生懸命働いて(Do)、モノを手に入れて(Have)、それで満足するという状態になる(Be) という生き方をしているのであると。 これを Do-Have-Be の生き方と言うんだと。
ひょっとすると、人によっては、働いて(Do)、手に入れて(Have)、 また働いて(Do)、手に入れて(Have)という生き方をしていて、 いつまでたっても満足するという状態にならないかもしれない。 また、働いて(Do)、働いて(Do)、働いて(Do)、ようやく手に入れて(Have)という 生き方をしているかもしれない。
でも、本当に欲しいのは、満足した状態になること(Be)なんでしょうというわけです。 そこで、セミナーでは、次のような生き方をが提唱しているんですよと。 すなわち、もうそれが手に入って満足している状態という気持ちになりなさい(Be)、 そしてそういう気持ちになった状態から行動しなさい(Do)、 そうすれば手に入れる(Have)ことができますよと。 これを Be-Do-Have の生き方と言うんですよと。
この話は、ポジティヴ・シンキングの一変種である。 確かに、成功を信じて前向きに努力した方が、いい結果がでる「こともあるかも」 しれない。 しかし、必ず Be-Do-Have という方法で、ものごとを挑戦したからといって、 成功するわけではないことは言うまでもない。
また、Be-Do-Have を詳細に描いたものが次の図です。
実は、 Be-Do-Have の話は、わかりにくいかもしれないが、 この図を見るとセミナーの他の教義とも関連していることがわかる。
例えば、「人は過去から来る思い込みや解釈にとらわれていて、 それが可能性を封じ込めている」という話である。 この話は、図では青い矢印で書かれた循環のラインに相当する。 まず、現在において何かの出来事が起こる。 そして、時間が経過し、その出来事が過去のものになる(上側の青線)。
ここで、セミナーのもう一つの教義、「事実と解釈は異なる」が顔を出す。 現在起こった出来事は事実であるが、過去のものになった出来事は、 もはや「今ここ」にはない。 人が思い出す出来事は解釈されたものであるというのだ。 そして、その解釈によって、 現在の出来事がやがて説明されることになり(下側の青線)、これが繰り返される。 そして、人は、自分の過去の解釈に沿って、現在の出来事を解釈し、 それに合わない出来事は無意識に棄却されるというのだ。
こうして、普通の人の人生は、過去からの連続でしかない、 何も変わらないものしか現われてこないと説明されるわけである。 これが、君の今までの人生なのだとくるわけである。 そして、この人生に違いを生むには、この悪循環を断ちきるしかないと言われ、 それには思い込みにとらわれなければいいという説明になる。 それで、自分が望んだビジョン(未来)を思い描いてコミットし、 そこから現在を作るのだと。
人間が思い込みにとらわれているというのは、あながちウソではない。 しかし、それは通常、「学習」と呼ばれるものである。 われわれは、自分が「学習」したことにあまり意識的でない部分があるので (特に意志決定の仕方など)、たしかに現状に即さない判断を行なって、 失敗することもある。 しかし、それはあくまで「一部」のことでしかない。 そして、未来の達成からくるという方法が必ずしも成功するわけでないというのは、 前述した通りである。